最近話題の睡眠時無呼吸症

UPDATE:2004.06.09

 最近、JRの運転士が運転中に居眠りをしてしまいその原因が睡眠時無呼吸症ではないかという話題が出ています。
睡眠時無呼吸症には、鼻からのどまでの上気道が狭くなる閉塞性睡眠時無呼吸症、脳からの呼吸を起こさせる刺激に異常が起きる中枢性睡眠時無呼吸症、その両方が合わさる混合性睡眠時無呼吸症があります。

 今回話題になった睡眠時無呼吸症はおそらく閉塞性睡眠時無呼吸症とおもわれますが、睡眠時無呼吸症とは、簡単に言うと、夜寝ている間に呼吸が止まる症状が出現し、この無呼吸が一回に10秒以上続き1時間に5回以上になるものをいいます。

 大抵の場合睡眠中にいびきをかいていて、いびきが止まったかなと思うと息をしていない状態が見られ、ふたたび大きな呼吸とともに呼吸を再開します。小児の場合は扁桃・アデノイドが肥大していることが多く、成人の場合は肥満の影響が多いとされています。そのほか鼻詰まり、のどの形が左右することなどもあります。
鼻からのどに至る呼吸の通り道のどこかに狭いところができているというわけです。

 この睡眠時無呼吸症がなぜ問題かというと、睡眠中、熟睡ができないため、今回の事故に見られるように日中の眠気や反応速度の低下、注意散漫などが見られる他、成人であれば血圧や心臓に悪影響を及ぼすこともありますし、小児であれば胸の骨格への影響、喘息発作の誘発などの他、学習への影響が見られることもあるためです。

 診断は問診および視診、レントゲン等による狭窄部の検索、睡眠中に機械をつけて無呼吸の頻度、時間、血液中の酸素飽和度などによります。

 治療は手術による方法と、鼻から陽圧の空気を送り込んで呼吸を助ける経鼻的持続陽圧呼吸等が主に行われます。
肥満が原因の場合は減量が一番の治療ですが、これが一番難しい治療かもしれません。
手術による治療は、考え方としては狭い場所を広げるという、非常に単純なものですが、個々に応じて考えなくてはなりません。実はここが難しいのです。
私は勤務医時代、手術を中心におこなっていましたので、小児の場合はアデノイド切除と扁桃摘出術、成人の場合は口蓋垂軟口蓋咽頭形成術、舌骨下顎骨固定術、扁桃摘出術、鼻中隔矯正術などを症例に応じて組み合わせて行っていました。

 現在は手術を行っていませんので、睡眠時検査と経鼻的持続陽圧呼吸を私のクリニックで外来的に行っています。

 確かに睡眠時無呼吸症の患者さんは、重症になると診察時に話している間にも寝てしまうことがあります。
また、ひどい頭痛が実は睡眠時無呼吸症によるものだったということもあります。
ちょっと変だなと思ったら家族の方に眠っているときの呼吸の状態を観察してもらう、いびきの様子をテープにとって聞いてみるなどによりある程度分かるものです。
特によく車を運転する方は思わぬ事故を起こす確率が高くなりますので気をつけてください。

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